キングオブザッパー繁ちゃん

私はフランクザッパもスキだが大ざっぱな人間もスキである。
上記の文章をくだらないと思った人は論外である。

かつて私はミス・ザッパーと讚えられたほど大ざっぱな人間であり、女では右に出るものがいないと自負していたのだが、世界は広い。中野区も広かった。上には上がいるというもので、神田ぱんには素直に負けを認めたことがある。

「なにがどうなってそう思うに至ったのか」
について、若干7名の読者の中には興味をもっている方もいるかもしれない。
しかし、詳細はここでは明かさないほうが賢明だろう。
私たちにとってはどんなに名誉なことであっても、世間一般にそれはマイナスイメージ、もしかして人間のクズとまで言われることがあるかも知れない。いやあった。
最悪、ライター生命が危険にさらされることも想定されての部下としての配慮だ。

さて、若干8名に増えた読者のために『キング オブ ザッパー』を少々ためらいがちに紹介しよう。
彼の名はザッパーシゲルちゃん、クールファイブの前川清と作家椎名誠を足してシャッフルしたような46歳 『わかりやすい男』。あえて言うなら私のオトンである。

彼が『キング オブ ザッパー』の栄冠を手中にしたのは強運の持ち主だからにほかならない。

私が小学校の時、オトンは高速を運転しながら窓から空き缶を次々に捨てたことがあるが、思えばあのときから、人としてケーベツしつつもザッパーとして敬意を払い始めていた。
さらにキングの目には、一方通行と言うマークは見えないらしいのだが一度も捕まったことがない。事故歴もない。
夜中の信号などはまったく見えないらしい。理由「ボク、鳥目だから」。キングは鳥目らしい。

つい先日までの3カ月間、マンションの集団ポストの下に大量のチラシがかなりごっそりと落ちていることがあった。
誰かがポストを明けて、中に入っていたチラシやビラ等のいらないものを、その場で捨てているらしいのだ。
それらはウチのポストの真下に集中していた。
私はうすうすキングの仕業ではないかと思っていたので脚でまき散らし、平均的に散乱するように協力していた親孝行者である。
鍵がついているのであけるのが面倒臭く、ウチではほとんどポストを開かない。広告類もたまってしまうのだ。
「無用なチラシ・手紙類は自宅に持ち帰って捨てて下さい」
管理人も張り紙攻撃に乗りだした。

「アンタでしょっ!?ここの住民でそんなことするのはアンタくらいしかいないでしょっ!」
オカンはそうキングに言った
「そんなことするわけねえだろ」
「じゃあアソビ!?」
矛先は私に向けられた。
「まさか!ワタクシこちらにお邪魔するときはホールの掃除をしているんですよ、お母さま」

しかし父子愛の二人三脚もむなしくついにバレる日がやってきた。

オカンがあまりにも口うるさくなってきたために、キングはホールで捨てるのをやめてしまったようだ。
キングと言えども女房は怖い。しかしその座を守るためにはここからが重要なポイントである。

キングはポストを開き、手紙やチラシの束をつかむ。オカンのヒステリック声を思いだし手紙類の選別をためらう。階段を上る→手紙の確認→いらないものはその場で捨てる→階段を上る→手紙の確認→いらないものはその場で捨てる→階段を上る→手紙の確認→いらないものはその場で捨てる→くりかえし。
これではどんなマヌケな探偵でも、犯人を探し当てることはカンタンに出来るだろう。
ポストのあるホールから、きっちりウチのドアの前まで、つらつらと足跡を残すかのようにチラシが落ちていたのだから。

それでもオトンは決して白状をしなかったそうである。
『キング オブ ザッパー』は『キング オブ スッとぼけ』でもあった。
受話器の向こうでオカンが人生の全てをあきらめたような口調で言った。
「呆れて涙もでない」
そして私は、ザッパーの奥義を学んだ




弟は成長したか

 可愛くて、とってもとっても大事な弟が、自分のチンチンを見せてくれなくなったのはいつからか思い出せない。
 私よりはるかに大きくなってしまったので、さぞかしナニもでかくなったことと推測される。

 それでも最初のうちは、彼がシャワーを浴びてるときに
「わーっ!」
 ととつぜん乱入したり、私の前を横切った時に
「とりゃっ」
といきなりパンツをずりおろしたりしていたのだが、あまりにもけん制するのでそれさえ出来なくなってしまった。
 っていうか、私も
「そこまでして彼のチンチンを見たいのか」
と自問自答した結果、
「そう言われて(自分にだけど)みれば、そうでもない」
と言う結論に達したのである。

 ま、ブツより経験だけどさ、何事も。
 ね、久志くん。





彼女の秘密

 ワールドカップですね。
 見てますか?見るんですか?
 素人の分際で、プロもどきの見解をかましてみますか?
 
 サッカーに興味はまるっきりありませんがオカンがセリエAの異常なファンなので、もーなんかこう、イヤでも耳に入ってきてしまいます。
 
 でもおかあさま、無理やりビデオを見せときながら
「あ、今いいとこ見逃しちゃった」
とシュートの場面を巻き戻して、わざとらしく何回も見せつけるのはやめて下さい。迷惑です。
 ミーの男友達が来たときに
「いやん、見ちゃダメー中身は見ちゃダメー」
と言いつつ、サッカー選手情報ノート(作オカン)をこそこそ見ながら解説するのはやめて下さい。気色悪いです。
 さらに、日本人ビイキのサッカー選手に、私の写真を勝手に送るのは絶対やめてください。しかも自分の名前にしてるそうですね。いったいどういうことですか。




父母のラブラブトーク

 父と母の会話

(前略)

オカン「その女とどうやって会ってたの?ケイタイに電話とかかかってきてたの?」
オトン「かかってきたことない」
オカン「じゃあアンタからかけてたの?」
オトン「かけたことない」
オカン「じゃあどうやって会ってたっつーのよっ!」
オトン「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………テレパシー……」


(以下怖すぎて略)


なんとなく、こいつの娘でよかったなどと思った深夜のホープ軒、ニンニク大盛り。




我家のサッチー論争

 ウチのオカンにとって、今もっとも気になっている女。それはオトンの浮気相手ではなく、自称私は怖い女『野村さちよ』である。

 「ワイドショー見てる?」
 と、嬉しそうに聞いてくるので見ていない旨を伝えると、サッチー悪事の詳細なる説明をただちに開始する。(恐怖)

 しかもまるで自分がそうされたかのような話しっぷりに辟易し、
「あーそれ知ってるよ」
とあからさまにいや〜な顔をすると
「なによアンタッ!さっきワイドショー見てないって言ってたじゃないのっ!」
だの
「これは今朝、発覚したんだからアンタが知ってるはずないでしょ!」
とものすごい剣幕で怒りだすので、娘としてはオカンとうとう気が狂ったんじゃないかとかこれは夢じゃないだろうかとそんな方向で現実を受け止めるほかないのである。

 これほどまでに彼女がコーフンしているのにはワケがある。

 ミッチーサッチー問題が浮上する以前、オカンは友人とサッチー論争になった。
 雄弁家な友人(サッチー派)に見事に敗北してくやしがり、どう考えても着れない柄をした40万の服をうっぷんを晴らすためだけに購入。オトンに怒られてシカトされていたのだ。
 真っ黒な布に、相撲取りがよくやるような真っ赤な手形がいっぱい付いたワンピース。彼女の精神状態をよく物語っていた。

 私としては、野村さちよはウチの叔母に良く顔が似ていると言う理由でたしかに悪女なんだろうとは思う。
しかし一人で戦っているところを私はヒジョーに高く買う。でも黒いワンピは買わない。

 それに直接危害をあたえられたことのない、今後もその心配はないであろうサッチーよりも、オカンの方がよっぽど恐怖です。

 誰か買わない?手形ビタビタのワンピース。黒魔術なんかには最適ですよ。




オトコを買うよっ!

 「ちょっとちょっと聞いてよっ」
 オカンからものすごい剣幕で電話がかかってきた。
「はいなんでしょうか。手みじかに」
 またキングオブザッパー繁ちゃん(私のオトンです)の浮気のハナシかと思って、いつものように受話器を置いたままにするつもりだった(それでも彼女は話し続けるのでけっこう楽ちん)

 私の友人、E子の母ちゃんに『熱海』に誘われたと言う。
 そして男を買って「パーッとやろう!」と言われたそうである。

 私の最近の流行り言葉が
「パーッとやろうぜ、パッーっと」
なので、恐らくおばちゃんが言ったとされるその言葉はオカンの作り話だと思われるがまあとにかくそういうお誘いだ。

 結論から言えばオカンはお断りしたそうだが、彼女はまったくクソみたい質問を娘にしてきやがった。
「男を買うってことは夜もあの……その……?」
「ソレしかないでしょ」
「ビックリしないの?」
「べ〜つに」
「おばちゃんも普通にあたりまえみたいに話すんだよねえ、そんなこととても考えられないんだけど、○○のおばちゃんも、ホラ○○のおばちゃんも浮気してるしみんな平気な顔して言うんだけど、信じられない。気持ち悪いと思わないのかね。やっぱりママがおかしいのかな、ママがフツーじゃないのかねえ」
「さあ……わかんないなあ『フツー』のことは……」
「……あんたも買うのっ!?」
「は?」
「あんたも私ぐらいの年になったら男を買うのっ?」
「買わないよ、わかんないけど」
「わかんないの?じゃあ買うかもしれないってこと?」
「わかるわけないじゃん、そんなこと」
「わかんないじゃないでしょっ!」
「ったくうるせえなあ、別にいいじゃんそんなことどーだって」
「どーでもよくないでしょっ!」
「なんだっつーの」
「今決めてっ!」
「なにそれ」
「 買うの?買わないのっ!?」
「わかったよっ買うよっ!」
「……」

 人間不信に陥りそうだと言ってオカンは電話を切った。

 気持ち悪いから20年近くセックスをしていないと娘の友達にまで話すオカン、
 娘より若い19才からカミさんより年の52まで、女なら手当たり次第の懲りないオトン、
 熱海でパーッと男を買いあさるE子の母親
 そして、売り言葉に買い言葉とはいえ、自分の親に「男を買う」と断言した娘……。

 人間不信と言うよりむしろ、ますます面白いなあと思った私、ホントにこのオカンの穴グラからでてきたんでしょうか?
 いろんなイミで、怖くて聞けません……。




野球観戦者を観戦する会

 うちのオカン、 トヨタカップのチケット入手不可能と言うことが、やっと理解することが出来たと思ったら
「そういえばサッカー親善大使に知り合いがいるんだったっ!」
なんて、どう考えても妄想としか取れない発言をいたしまして、とうとうトチ狂いました。
 こんなキチガイと血がつながってんのかと思うとさむけがします。

 さてさてワールドカップほど話題になってはいませんが日本シリーズ。
 べつに野球にキョーミはないけれど、なんと言っても『野球観戦者を観戦する会』副誉(ホマレ)会長のワタクシとしては実に見ごたえのある一戦でした。
 横浜ファンがなんともよろしい。ワールドカップが4年に一度なら、38年に一度の気合が入ってるワケですからトーゼンと言えばトーゼンです。なにしろ現在30歳の人は、次は70近いかも知れないんですからね。
 以前『サッカー観戦者を観戦する会』も旗揚げしたのですが、約四時間で会は消滅。
 サッカーと野球の観戦者、この二つの民族は、クリープを入れないコーヒーと、クリープだけを入れたお湯くらいの違いがありました。

 サッカー観戦者でイケナイのは皆がハデだと言う点です。デーハーゆえに個性がない。これではインチキ臭さが増すだけで、クソ面白くも何ともありません。
 泣き叫ぶコギャルも、どっかの酋長メイクも、虹色に輝くアフロなかつらも、キレイにそろった大波小波も私は別に見たくないのです。
 私が見たいのは、見事に足並みのそろわないコアな老若男女。
 ネットウラで、審判になりきっているイカれたオヤジ(全部ストライク、アクション付き)。
 仕事帰りのキレイなお姉ちゃんが、つい股を広げて大声を出すその瞬間。
 新聞の切り抜きをダンボールに貼って、得意ゲにふりかざすお兄さん。
 グローブを持ってボールをウレシソーに待ちのぞむ人々。
 負けを確信し、7回ウラからずーとうなだれている息の臭そうなオッサン。
 ネクタイを鉢巻きにした営業一筋10年目にしてやっと係長と言った類のサラリーマン。
 あるいは隅のほう〜で作り上げた二人の世界 by ブスゲスカップル。
 サクをよじ登るスパイダーマン気取りのストリーキング、そして支離滅裂なヤジ。

 それぞれの野球、それぞれの応援歌、そしてそれぞれの人生までも垣間見れる『野球観戦者を観戦する会』只今会員募集中。
 参加希望者は勝手に球場まで行って下さい。明日は所沢です。



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