インディアンうそつかない

 今インディアンスタイルに凝っているが、いつまで続くかわからない。

 そういえば、東京のハズレの小学校に転入したての頃。
その日はなんかインディアンな服を着て学校に行ったもんだから
「私、インディアンノ娘アルネ。家デハライオント象ヲ飼ッテルアルヨ」
(インディアン・動物・中国語の関連性はムチャクチャだがナイとも言えない)
と言ったらなぜかみんな
「はあ〜だからランドセルがピンクなんだ〜」
とか、
「だから痩せてるんだ〜」
「へえーだから頭の形がヘンなんだ〜」
と、ムチャクチャな納得をしてマジな瞳になってしまった。ちょいビビッたがほっておいた。信じるほうがワルイ。

 だが数日後、
「ウチのオトンは昔レーサーだったんだゼ」
と自慢したら、みんなが
「ウッソだあー」
と言いだして、私がむちゃくちゃムキになったもんだから
「ほらウソだ」
と言うことになった。

 私がこんな中途半端なくだらないウソをつくはずないのである。
 バカにしないでいただきたい。

   私は今でも、ウソツキだということになっている。どうみてもキツツキには見えない。
 開き直るわけではないが、あ〜たしかにウソツキだ。ヤってる最中思ってもないのに否定の言葉を叫んだりするし、道端に倒れてよく死んだフリとかする。

 私はキツツキではないがウソツキであり庶民でもある。しかし、庶民的なウソはつかない。タブン。




バカ涙はすぐ乾く

 宴会の予定が葬式になった。

 仏教の葬式はあほくさい。
 あの線香のにおいほどウサンクサイものはない。
 くだらなくて吐き気がする。

 インチキ坊主!
 油で固めた頭を、つるっ禿げにしてこっちに差し出せ。

 涙のかわりに、ゲロを吐いてやるぜ!
 思いっきし。

  つーわけでアナタ、泣虫毛虫ですか?
 
 涙もろい自己の性格を分析して、感受性が強い・情が深い・繊細などという方がいらっしゃるが、あれはヤバイね、自分に酔ってますね、完全キてますね、バ〜カ。

 私はすぐ泣く。泣くようにしている。
 我慢しようと思えば出来なくもないモノばっかりだけど、その方がラクチンなのでそうすることにしている。
 本当なら道に迷ったくらいで、バスに乗り遅れたくらいで、紅茶の甘さ加減が気にくわなかったくらいで、ギャアギャア泣き叫びたいところだがアダルトチックな理性が働いてそこまではできない。

 なぜすぐ泣くか。
 それはバカだからだ。
 すぐ泣く私が言ってるのだから間違いない。
 つまり私はアダルトではあるがバカですと宣言しているのだ。
 鹿を馬と言った中国の故事から、バカという言葉が発生した。
 しかしこの場合のバカはちょっと違う。
「泣ーいたカラスがもうー笑った」
 この言葉が全てを象徴している。
 でもやつらの名誉のためにいっておくけど、カラスはバカではないよ。
 
 とにかく泣き虫はカラス以下!
 毛虫以下!みじんこ以下!
 
 去年突然友達が死んだ時、ゴモラ怪獣(by円谷プロ)のように醜く泣く私の隣に、私より百倍悲しいはずの友達がしっかりと立っていたときの情けなさ。

 お父さんの死んだ一年後、お母さんも死んでしまった男が「あ〜あ、みなしごハッチになっちゃった」(by竜の子プロ)と言ったあの強さ。

 おナミダの量と愛情の量が比例すると言う方程式は、あのピカピカの葬式のようにクソくらえ。そんなことが涙なんかで、わかってたまるか。
 
 私はスグ泣く。そして、泣きまねが得意だ




オカマと呼ばないで。別にいいケド

1位 男ですか女ですかもしかしてオカマですか
2位 目次の女のヒトはツチヤさんですか?
3位 次号『0点』はいつごろ出ますか?

 以上が私に来るメールで多い内容です。

 3位はもちろんもちろん、上位2についても今までいちいちお返事を出しておりましたが、
「オカマジャア、アリマセン」
とキーボードを打つときのむなしさ、せつなさ、空腹感、アナタにわかりますか?

 小学校の頃は
「おとこおんなーっ!」
と言ってみなに親しまれ、ラブレターの数は男の子からより女の子の方が多かったと言う私の思春期。
 これは全て美しきモノへのヒガミというか愛情の裏返しと言うか、そう解釈していた私のプラス指向、アナタにわかりますか?

 こんなエピソードもある。
 空いた電車内、ミニスカートをはいていた私の隣でアンパン喰ってたババアが急に耳打ちしてきた。
「わかってるわよ、あんた、アレでしょ?」
「は?」
「もうー私にはわかるのよ、きれいにお化粧しちゃってるけど、オカマでしょ」
「違いますよ」
 そして私のハスキーボイスを聞いたババアは
「ほらーやっぱり。年の功よ、んふふホラこれあ、げ、る」
 差し出されたアンパンのかけらを思わず口に入れてしまった私のキモチ、あなたにわかりますか。
 そしてつい、
「もうちょっと頂戴」
と言ってしまった私のキモチ、アナタにわかるはずありません。わかったら私が教えてもらいたいくらいです。




バチェラーの嘆き

ちょっ、ちょっと やられた。
そう書いて今年に入ってやられてばかりであることに気づいた。

だからと言って私はヤリマンではない。
とられたのである。
ねがいましては3万円なり。
誰にとられたかというと婦人警官である。
わかりやすく言えば野方警察署のサトウ巡査長である。
なぜかというと路駐である。

「5分過ぎただけじゃねえか」だの「お金払わなかったらどーなんの?」だの「国民の税金で飯食ってるご気分は?」などとゴネる私に 絶対に私より年下であるはずのサトウ巡査長、幼児を扱うような口調で受け答えするのには腹が立った。

ビビらせるためにバチェラーと言う巨乳エロ本をちらつかせたが効果はなかった。
良く考えてみれば当たり前かも知れない。

職業は?と聞かれて「バチェラー」と答えたが、は顔色一つ変えずパソコンに「自営業」と打ったサトウ巡査長。

私はあっさりと負けを認めた。とても素直でイイ国民である。




ボートク病院へ行こう

 ここ一カ月の間、ずっと体調が悪かった。
 年中ノドが痛いし、夜になると鼻が出るのだが発熱や咳などの症状はなかったのでほっておいた。

 そして今日、車でちょうど通りかかった総合病院が、改装してピカピカに化けていたので入ってみることにしたのだ。
 入り口付近の自動販売機の数が増えていた。真新しい自販の中で、私の大好きな『フルーツ・オレ』も健在。紙パックに描かれたバナナやイチゴの顔も、今日は一段とニコニコしているようにみえるから単純だ。

 さて、診察券は家に置いてきている。いつものことなので、私は慣れた手つきで紙っきれに必要事項を記入した。記入する台は改装前となんら変わりはなかった。しかしその上に花々がこんもりと生けられているカゴが置いてあって、精いっぱいの改装アピールの努力の跡がうかがえる。
 仮診察券を提出。
 すかさずイスに座る。眩しいほどのオレンジ色は患者に精神的に悪そうな気もするが、ダーク色強いジジババが多いこの院内、少しは明るくなるのでヨシとしよう。
 キレイな受付けの姉ちゃんが私を追うようにして、スチュワーデスなみの笑顔と腰付きでこう言った。
「土屋さまですね?診察券発行で50円かかりますけどよろしいですか?」
「え?50円!?」
 私はいつもこの仮診察券で診察を受けてきた。そもそも診察券なんてとっくの昔にどっかに無くしているのだ。ピカピカにしたとたん、貧乏人から50円もぎり取ろうなんてヒドイ。
「えっー今まで払ったことないよ」
「診察券がなければ受けられないので……」
「ひどいなあ、それ。ねえ?」
 隣に座ったバアチャンに同意を求めたが、彼女は聞こえないふりをしていた。これだからババアはいやだ。
 この50円が積もりつもってあの卓上の花に化けるのか、あるいは姉ちゃんの笑顔に。マクドナルドでさえスマイル0円のご時世に。
 しかし、いい歳こいてダダをこねるのもナンなので私はその辺でしぶしぶ了承した。
 近くのガキが母親に耳打ちしている。
「ねえママ、50円って高い?安い?ねえ高い?」
 私は吹きだしそうになるのをこらえながら、
「高いよ〜おうちが買えるよ〜」
 母親はガキを抱えるようにして席を立った。
 隣のバアチャンは、相変わらず聞こえないフリをしていた。

 内科を受けると、医者は
「う〜ん」
と唸った。
「これは耳鼻科だね、耳鼻咽喉科に行ってもらおうか」

 そして医院内の耳鼻科に直行。
 耳を診る先生に
「先生、ついでに耳あか取って下さいよ、あのホラ、先っぽの光る耳かき、あれ買ったんだけどよく考えてみたら自分じゃ見えないんですよね〜」
と言ったのだが
「ははは」
と笑われただけで何もしてくれなかった。50円もだまし取ったくせに、なんてケチな病院だ。
 鼻をかみ、ノドの奥の細胞を取られて、採血もした。注射器の針の太さに大げさに驚き、刺された瞬間に大げさに痛がった。そうでもしなければ「痛い」と思った。そんな私の中で流れていた血は、赤黒い泥のようだった。

「アレルギーだと思うよ、クスリ出しとくから二週間後にまた来て」
「はあ……」
 毎日毎日パブロンゴールドを飲み続けた。揚げ句の果てに怪しげなトヤマの置き薬も飲み尽くしてきた、あの一カ月間はいったいなんだったのか。
 会計では、
「土屋様〜土屋 遊さま〜」
と呼ぶアナウンスが流れていたが、私は隔離された喫煙室で『フルーツ・オレ』の一気飲みの最中だったのでそれどころではない。
 天井までガラスでしきられた喫煙室は何も変わってはいなかった。まっ茶色に染まった大きな換気口のヤニでさえ落とされていない。
「(スモーカーに対する)冒涜だな」
 私は漢字さえ知らないそんな難しい言葉をつぶやいたことに大変満足し、会計はすっかり忘れたふりをしながら病院をあとにした。




ワタシの笑顔

私は自分の笑顔が嫌いだし、人をバカにしたりして思いっきし笑ったあと、必ず呼吸困難でゼイゼイするから本当は笑いたくない。
人はこれを「バチがあたった」と言う。

でも私は、どんなささいなことでも笑うべきところを見逃したくないのである。そのことに全てを賭けているところがある。
よって私はいつもニヤニヤしているらしいのだがそれが可愛いのかというとそうではない。むしろ、怖い。それはわかる。
初対面の人にはだいたい怖がられる。

新婚の友達の新居で飲んだり喰ったりテレビブッ壊したりさんざんしたあと、私は用があったので皆より先に帰った。初対面の女の子が3人いた。
彼女達は「え〜もう帰っちゃうの〜」だの「遊ちゃんちに今度遊びに行くね〜」などと言っていたクセして私がドアを締めたとたん、
「あ〜怖かったあ〜」
と玄関にヘナヘナと座り込んだという。
男連中はおおいにウケてよろこんで私にソレを報告してきた。

私に自覚はない。脅したつもりも威嚇したつもりもない。でも女と言うものはつくづく恐ろしいもんだなあと私は別の意味でカンシンしたのである。
だからと言って彼女達を嫌いになったわけではない。どうでもいいや。

頼んでもいないのに友達の間で『遊はどうして怖がられるのか』と言うハナシになった。
そんな協議をしつつも、私が誰かに怖がられると緊急連絡網のように電話をまわしておおはしゃぎするのもまたこの連中である。
目が悪い。顔が悪い。歩き方が悪い。声が悪い。性格が悪い。
最悪っちゅーことかい!極悪の方がかっこいいな……まあいい。あながち当たってないわけではない。
そして人見知りをしなさすぎるところに原因がある。

私はよく人に誤解されて嫌われると言われる。「あーそうだねえ」などと気のない返事をするにはするが実は私はそうは思っていない。
誰も誤解などしていない。誤解されるようなこともやっていない。
誤解じゃない!正解だ。正解なんだよっ!




世界一の瞬間風速

どっかーん!
と言う音で飛び起きた。

ベランダでイスやらバケツやら月の置物やら、私が作ってホンキでリヤカーで売ろうと思っていた針金細工のオブジェやら、オモチャのブロックやら、弟がクレクレクレクレと百万回言っていたX MANの黄色いゴミ箱(しつこく言うので惜しくなってベランダに隠していた)とか、確かに自分が書いたのだが暗号みたいなのが羅列してあるなんだコレはと言うような木材の欠けらやら、とにかくそう言ったモノ(ゴミ)たちが嬉しそうに「ドドドドドッードドドドドッー」と行ったり来たりしているのであった。いや、「ガガガガガガッーガガガガガガッー」だったかもしれない。


雨ががむしゃらにガラスをたたき付け、前々から破けていたアミ戸の被害はさらに広大していたがそんなチンケな事を気にする私ではない。窓の前に立った私はとてもバカでは考え付かないような発見をして安堵していた。

ここにガラスがあって良かった……
窓がなければ私はずぶぬれだ。
さらにこんな事も考えた。
この雨つぶの大軍がイナゴでなくて良かった……
ガラスがあっても、イナゴはいやだ。
さらに言えば
これがスズメバチでなくて本当に良かった……。

ところがこれがコンパスでなくて良かった……とは思わなかった。そんなこと思うヤツは変人のナニモノでもない。でなければガチャ目か。大きさがぜんぜん違う。

とにかく私は雨つぶがスズメバチでなかったことをいいことに、窓を開けてしまったのである。
そしてなぜか、ベランダにつったって凄まじい大雨強風洪水警報に立ち向かったのである。
「この試練に耐えれば、私は大きく成長する」
と、どっかで聞いたようなセリフが頭をよぎり、 自分は今、世界で一番カッコイイのではないか、などと思った。
Tシャツとパンツ一丁で。




2時間の死闘

 「ねえねえ、土屋さん、その髪の毛って自毛?」
 「その髪の毛ってパーマ?」
 「その髪の毛、梳かしてるの?」
 「髪の毛、ちゃんと洗ってる?」
 私に出会うと必ず髪の毛のことを聞く50過ぎのババアがいる。
「私の髪の毛、そんなにクサイですか?」

 金曜日に、「養老の滝」でそのコトと髪の件が話題になった。

 私の髪は自毛である。パーマもかけている。そして梳かさない。洗うのは1週間に一度。
 でもハッキリ言ってこんなのはマシな方なのだ。
 昔、髪の毛の中にハチが入り込んでしまって、下手に動かして刺されるのも怖いし、どーしよーどーしよーと騒ぐのにもあきたころ、かわいそうにハチはとうとう頭皮に到着することも外の空気に再び触れることも出来ずに髪の毛の中で死んでいたなんてコトもあるくらいなのだ。と思ったらハエだった。自慢にはならない。

 そして私はなんとなく、久しぶりに髪の毛を梳かしてみようという気になったのである。
 ところは実家。トリートメントは上等。ブラシは3種類。シャワーは適温、水圧OK。防水ラジオは文化放送。万全な態勢で私は約半年ぶりに髪の毛にクシをいれる儀式をおごそかに始めたのである。

 ハッキリ言おう。私のバスタイムはふだん、ツンパを脱いでツンパを履くまで、13分である。
 その間、ワキにも脚にもカミソリをあてるのでものすごいハヤワザである。お風呂に浸かるのはだいたい10秒だ。
 ちょっとめずらしい男の子とやる時はこれにおよそ3分くらいプラスされる。
 そんなことはいいとして、なにが言いたいかといえば、そんな私が昨日、お風呂に2時間以上入っていたのだ、どーだスゲえだろうと言いたいのである。

   そのほとんどは、髪の毛を梳かす行為だった。
 A液B液あるトリートメントを十分髪に浸透させて、まず前かがみ、疲れたので首をナナメにしながら
「ああ、このポーズはよくCMなんかでやってるな」
などと思いながら。
 それからムリヤリ横になって、仰向けでもやってみた。そしたらちょっと可笑しくなったので記念にうつぶせになってみたがコレは可笑しいどころか悲しくなった。

 そしてまた前かがみになるのだが、どうにも首辺りがジンジンしてきて、さらにまったく梳かせない右後頭部あたりにムカついて、
「そうだ、お湯の中に入ってしまえば溶かしやすくなるかもしれない」
と、かしこい私はそれに気付いてお風呂に頭ごとつかるのである。

 思いっきり息を吸い、お湯の中にモグり、必死で髪の毛を梳かす。そして
「ぷはっ〜」
とフレッシュかつ、湿度の高い空気を吸う。そしてまたモグる。
 それをくりかえしていくうちになんとかクシがスムーズに通るようになった。

 実家には友達も来ていたので、私は密かに、
「遊がこんなに長くお風呂に入ってるはずないよ。死んでるんじゃない?倒れてるかもよ」
と、心配してお風呂場に来ることを想定。
 その場合に備え、むやみにバスタブに潜って死んだフリとかして待っていたのだが、さすがお風呂場、すべてが水の泡になってしまった。

 部屋に戻って、頭を拭いたり冷蔵庫をイミもなく開けたりして
「あ〜死ぬかと思った、死ぬかと思った」
と100回くらい言ったのに、みんな『偽ふかひれスープ』と生ダコの刺し身に夢中で誰も相手にしてくれなかった。

 で、カンジンの髪の毛はどうなったかというと、ボリュームが70%、重さも60%ダウン。
 それよりも、必然的にトリートメント風呂になったお湯に浸かって水死体のフリなどしていたおかげで全身がしっとりツルツル。
 セックスするにはもってこいのお肌になりました。

HOMEDIARYTEXT