東京デート2[こころの居酒屋・どり助]

神田ぱん




こないだ池袋を散歩していたらとんでもない店を見つけた。
その名も「こころの居酒屋 どり助」。
看板を良く見ると、これって金髪先生ドリアン助川。しかも髪型が凄い。
ドリアン助川だから「どり助」。どうにも店名に工夫がない。以前(といっても10数年前)、歌舞伎町で緑色の看板に黒い絶縁テープで「豊川譲の店」と書いてある飲み屋を目撃したことがある。それよりはちょっとマシだろうか。
店内に入ると「鮮やか〜Asian Dream Song〜」が流れてきた。久石譲のピアノに合わせて朗読をするドリアン。パラリンピックムード満点だ。そしてやたら貼り紙が多い。

ここは君たちの
こころの居酒屋です
もう君はひとりじゃない

暴力団・ドラッグ関係者
立入禁止!!!

大声でのお話は
君の隣人に迷惑となるようです

悩みがあったら気軽に
店員に声をかけてください

中学生の君たちへ
ナイフは君自身を傷つける

店内には貼り紙のほかに、「相田みつを」の詩集やインディアンのデカいドリームキャッチャーなどが。詩集は販売もしているようだ。もちろん「シャウト!金髪先生〜ドリアン助川のロックで講義〜」はカウンターにどっさり。
黒板には「本日のおすすめ」に混ざって、ドリアンや「叫ぶ詩人の会」のスケジュールが書いてある。6/18は仙台MACANAって、ずいぶん小さいとこだな。東京ならリキッド・ルームクラスか。
と、突然大きな話し声が聞こえたので「隣人の迷惑だぞ」ときょろきょろしたら、カウンターの上のほうにテレビがあって「金髪先生」のビデオを流していた。
シド・ヴィシャスはベース弾けないないのにベース担当だからカッコ良かった、でもドラッグやるのはロックじゃない、とかそういうことを金髪先生が述べていた。
とにかくドリアンはドラッグが大嫌いなのだ。ということはわかった。
メニューは「鶏ささみの梅たたき」や「若鶏にんにく焼き」「冬瓜の鶏そぼろ煮」など、ヘルシーな鶏料理がメイン。もしかして「どり助」の「どり」は「鶏」なのか?
でも冬瓜は美味だった、980円とやや高いが。
そう、この店、ドリンクも料理もやたら高いのだ。ドリンクはワインが主。グラスワインが3種類日替わりで700円から、デキャンタなし。今どき酒屋に980円で出回ってる「エスト!エスト!!エスト!!!」をボトル5000円で売るのは暴利としかいいようがない。タイユバンロブションか、どり助。「ポリフェノールの効用」なんかメニューに謳ってあっても納得できない。
のみならずチャージも2000円とバカ高。テレビで見るフレンドリーなドリアンの姿はニセ者なのか、銭ゲバドリアンじゃん、と疑問に思いかけて気が付いた。ここはソフトなボーイズ・バーなのだ。
ドラッグも叫ぶ人もお呼びでない(でも詩人なら可)が、中学生はOK(でも金持ちだけ)の居酒屋。ドリアン主義者の出会いの店。「もう君はひとりじゃない」ってそういう意味。
あちこちの席でドリアンの如き店員が客と談笑している。何を話しているのかものすご〜く聞きたかったが、あと私も悩みを聞いてもらいたいナ〜と思ったが、セミナー帰りの店員だと勧誘されて困るのでやめた。
帰りにレジで会計をしたら「2万3500円です」と言われて仰天。ナンボなんでもそんなに高いわけないだろう!と抗議したら、店員はサラリと「パラリンピック開催中は福祉関係に寄付するため40%増額されます」と言ってのけた。パラリンピック万歳。福祉に教育に、尽力しまくるドリアンに幸あれ。私はひとりで生きてゆく。








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