東京デート1[橋田壽賀子記念館] 神田ぱん 今日、西巣鴨にある「橋田壽賀子記念館」に行った。 西巣鴨?どこそれ。という人も多いかもしれないが、最寄り駅は都電荒川線の庚申塚か、都営三田線の西巣鴨。 とこう書いたところでなおさら、どこそれ状態になるような場所である。 まあ、ちょっと歩くとおばあちゃんの原宿・巣鴨とげぬき地蔵に至る、つったら話が早いだろうか。 ところで都電荒川線は貸し切りやってるのだが、これが毎月4の日は借りられないそうだ。 東京都交通局荒川電車営業所の人によれば 「4の日はとげぬき地蔵の縁日なので。電車の運行は全部、縁日に合わせたものになりますから」 とのこと。 運行は全部とげぬき地蔵に合わせて…そんな電車がまだ都内を走っているのか。って閑話休題。 そんで懸案の「橋田壽賀子記念館」である。 パンフによれば橋田壽賀子本人と西巣鴨との縁はほとんどなく、「庶民の生活を描き続けた橋田先生の軌跡を、この江戸の名残りが息づく下町・西巣鴨にいきいきと再現」すべく、「橋田壽賀子記念館を誘致する地蔵っ子の会」が作ったらしい。 庚申塚駅付近というのは、およそすべての都電沿線がそうであるように、学校か病院か寺社か墓地しかない。だから沿線の店はたいてい「営業九時〜十七時、日祝休」なのだ。 たぶん地蔵っ子たちは、月三回の4の日以外もなんとか客を取り込もう。お地蔵様に頼ってばかりいてもダメだ。ウチには飛鳥山公園も古河庭園もないし。と考えたのに違いない。 それが橋田壽賀子ってとこになんか大きな間違いを感じるのだが、できてしまったものに文句をつけてもしょうがない。「すがこ」と「すがも」のダジャレだったらちょっと泣ける。 入館料は大人七百円。はっきり言って高すぎる。 ところが、団体割引だとたったの二百円。しかも「5名以上の団体」とある。 こんな値段設定にも、地蔵経由のばーさんどもを呼び込もうという主催者の思惑が感じられた。さすがに伊豆の「ジュディオング資料館」とは気配りぶりが違う。 そして館内はなぜかエレベーターで二階から見学するようになっており、そのハイテクぶりにキモをつぶした。ひとけのない二階に降り立つと館内真っ暗。 あれー、あんまり人気ないんで今日休みかい。そう思った瞬間、左右のライトがぱぁぁぁっと灯り、正面に壽賀子の満面の笑み。 「よーこそ、壽賀子ワールドへー」 と、たぶん壽賀子本人と思われるちょっとカンの強そうな声が流れる。 あっけにとられていると、目の前の通路にさまざまなドラマのワンシーンが。 泉ピン子が、赤木春恵が、岡本信人が、沢田雅美がほほえんで出迎えてくれる。しかしまずピン子っていうのは?いいのかそれで? 壽賀子ドラマのトンネルを抜けると、壽賀子の生い立ちや幼少の頃に書いたという作文などがパネル展示されている。理由はわからないがその前方には巨大な水槽があった。 壽賀子が小学生の頃書いた作文のタイトルが「女は辛抱」というのに納得。人気番組をふたつくっつけたようだ。 それにしても「出身・京城」ってすごいな壽賀子。 特技は「水泳」…そんなことどうでもいい…。だが「どうでもいい」と言ってしまえば、この空間全てを否定することになる。 奥へ進むと、壽賀子系の役者たちが寄贈した、ドラマの衣装やメッセージなどが展示されている。 TOKIOの山口達也の名前もあった。壽賀子へおもねるとはなあ、先輩ヒガシのアドバイスだろうか。 なんとユーミンも写真入りで、記念館落成の悦びを表している。「春よ、来い」ですか。 さらにこの博物館のハイライト、「壽賀子プリクラ」と「橋田ファミリーゲーム・つくし誰の子?」を見学。 プリクラは数パターンあって、あのアホみたいな枠の中でにっこりほほえむ壽賀子や、なぜかハリセンを持って 「アンタ、しっかりしなさい!」 と息巻く壽賀子など、壽賀子尽くし。 でも正直な話、私はプリクラというのをやったことがなくて、どのボタンを押せばいいのか怖くなり結局撮らなかった。 むー。悔しい。 ゲームのほうは、クイズに答えて子供を育てるやつで、橋田ファミリーに関する質問が主。 「つくし誰の子」つうのは、壽賀子が脚本書いたドラマの名前らしい。 しかし「石坂浩二の本名は?」など、「この人ファミリーにいれていいの?」という疑問も浮かんでくる。「国民が『おしんを元首よりも尊敬する』と発言して物議をかもした国は?」という問題で即座に「イラン!」とわかる自分が情けない。 「進路→」に促されるまま一階に降りると、もうぜんっっぶ壽賀子土産。 予想はしていたが、ここまで品揃えされたのでは脱帽である。 お菓子類は一時期NHKで売ってた「おんなは度胸・あん入り生八つ橋」が一番人気のようだ。あと夫婦茶碗。「箸にも棒にもかからぬ」だって。なんだそれ。 湯飲みには「番茶も出花」と書いてあった。キーホルダーにペナント、漬け物にうどん、トレーナーにてぬぐい、今じゃ見かけなくなった東京タワーとセットになった温度計まである。 そしてここにもハリセンだ。壽賀子にハリセンって何か誰でも知ってることなのか。少なくとも私は知らない。ハリセンには「長いものには捲かれよ」と書いてある。むー。意味深長。もしかして次回作のタイトルなのか。 ということで「橋田壽賀子記念館」をあとにした私だが、たぶんもう二度と行くことはないと思った。 作・神田ぱん
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